「お客様から学んだ歴史」
少し前の出来事です。
武蔵小杉としては身近なJR南武線の旧型車両(205系)が昨年末、南武線での仕事を終了し、インドネシアのジャカルタで第二の人生を送る(既に送っていた車両もあり)と話題になりました。
その後、Youtubeなどで調べてみると、東京メトロや東急電鉄の車両もジャカルタで活躍している映像がたくさんありました。
まだまだ使えるものを廃棄することなく、必要とする国・地域で再利用できるなんて、なんてすばらしいことだろう、と嬉しく思っていました。
「でも、どうしてそんなにたくさんジャカルタで再利用されるだろうか?」と疑問に思い、調べてみたところ、実は、軌道(線路の幅)も送電方式も日本とまったく同じで、日本から持って行った車両はすぐに使えることが分かりました。
そんなことを知った矢先に、以前からお越しいただいているインドネシアのお客様がご来店になったので、日本の電車がジャカルタで大活躍していること、また、その理由をお話しました。
・・・が、お客様から予想外のコメントが返ってきて、恥ずかしくなってしまいました。
それは、ジャカルタの鉄道が日本と同じ規格になっている理由を明確に説明をし始めたからです。しかも日本人の多くが知らないことをです。
かつて日本はインドネシアを2年間統治していたことがあったのだそうです(私はその歴史を知りませんでした)。その時に日本人技士が鉄道の敷設を始めたそうで、その時に日本と同じ規格で進めていたのです。日本の統治から開放された後も、その規格を踏襲し鉄道網を広げていったことが日本と同じになった理由なのだそうです。
そんな歴史があったにも関わらず、日本のことを悪く思うこともなく、現在の経済的な協力関係も喜ばしく感じてくれていたことは本当に助かりました。嬉しかったです。
恥ずかしく感じたのは「インドネシアで教えている歴史(事実)」を「日本では自国の都合の悪い歴史は教えない」ことでした。
ご来店中の短い時間でありながら、こんな濃い会話になることは時々ありますが、互いにプラスになれたりする会話って素敵だな、と思いました。
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以前に2回ほど施術していただきそれ以来ブログを拝見させていただいております。今回おそらく初めてのコメントをさせていただきます。
インドネシアの人が二次大戦中の日本軍による統治にたいして悪い方向の感情だけをもっているわけじゃないというのにはいろいろ理由がありますが、インドネシアでは自国の歴史に関してかなり客観的な視点で評価をして良かった面も悪かった面も教えているっていう面は無視できないと思ってます。
その上で、日本がインドネシアに進出する際に交戦したのは基本的に当時インドネシアを植民地支配していたオランダ軍(と、その先兵に駆り出された一部のインドネシア人)だということ、オランダ軍をインドネシアから排除した後に日本軍が行った独立国家への準備(政治犯として拘束されていたハッタ氏や後に初代大統領になるスカルノ氏を開放し、占領期後半にはこの2人を中心にして国家の独立準備をさせた)ことなどが一定の評価をされていることがあると思います。もちろん戦時占領下での軍統治ですから悪い面も数多くあったのは事実ですが。
それに加えて、インドネシアでは日本の無条件降伏で終結した二次大戦が最後の戦争ではなく、その直後にインドネシアを戦前に植民地支配をしていたオランダとの独立戦争が勃発していることも影響しているはずです。
悪い表現かもしれませんが、もしかしたら二次大戦終結当時のインドネシアの本音は・・・「なぜ日本は今無条件降伏をするんだ!あと3週間だけ粘って欲しかった!」だったのかもしれません。
(9月上旬に国内外に対して国家の独立宣言をする予定になっていたが、日本の無条件降伏により宣言が出せなくなってしまいました)
もちろん占領下で日本軍の技士が敷設した鉄道も二次大戦と無関係ではないどころか、日本がインドネシアに進出した目的と大いに関係があります。
もしも日本を含むアジアの戦争前後の歴史に興味がありましたらインドネシアの近代史を調べてみることをお勧めします。他国の歴史ではありますが・・・日本の教育ではおざなりにされている部分が補完されるものも多い良い教材になると思いますので。
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>Bunsoさん
本当に深い深いお話をご丁寧にありがとうございました。
Bunsoさんの高い見識に基づいたご感想のお陰で、新たな知識を加える事ができました。
確かに見方によりますが、いろんな解釈ができるのが戦争のような気がします。良いことばかりではありませんが、戦争によって良くなることは少なからずあったりしますからね。
本当にすばらしいコメントに心から感謝いたします。